日本ウルグアイ友好親善協会、ニュースレターNo. 8,

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最近のウルグアイ経済の状況は、アルゼンチン経済危機の影響を受けて、観光客は減り輸出も減り、大変な状況になってきています。718日大通りの店は軒並み店じまいディスカウント セールをやっていますし、店をクローズしたところも多くでて来ました。

アルゼンチン経済危機の原因は、ブラジルが行った今年1月の通貨切り下げの影響で、ブラジルへの輸出が減り、輸入が増加したことによる貿易赤字の拡大が大きな原因となっています。最近では輸入制限、保護貿易とブラジルから批判されるような、国内産業保護政策が次々と出されています。

ブラジルは通貨に変動相場制をとり、811日現在の為替市場では、1ドル=1.88レアルとなっています。通貨切り下げ前は、1ドル=1.21レアルでした。ブラジルは、約50%のレアル安となっているのに、アルゼンチンでは通貨ペソは1ドル=1ペソの固定相場制を維持しており、ペソはレアルに対して価格競争力を失い、輸出が減り、輸入が増えています。特に、自動車工場が深刻で、ルノー、フィアット、フォード、フォルクスワーゲンの工場では生産を削減し、9,000人の従業員を解雇しました。アルゼンチン国全体の失業者数は、187万人とも言われ失業率は14%に達しています。貿易摩擦が激しくなってきている中で、最近ブラジルの外務大臣がアルゼンチンの経済危機は、企業が近代化を怠り、生産性が低いので、国際市場での価格競争力がないのが原因であると言ったと伝えられ、感情的問題にまで発展しています。

最近、アルゼンチン政府が通貨の切り下げをやるのではないかと言ううわさが流れ、株価が急落しました。通貨切り下げはしないとメネム大統領は明言し、1ドル=1ペソの固定相場制でがんばっています。むしろ、ドルを地域通貨として受け入れた方が為替市場は安定して良いので、ドル化政策の可能性を研究するように、財務当局に指示しています。アルゼンチンの対外債務は、1998年末で、11235千万ドルとなり、その62%が外貨建ての債務になっています。通貨を切り下げ、変動相場制に移行し、通貨の暴落を招けば、実質債務の増大になります。

ブラジルの経済危機の時は、アメリカは深刻になって対処しました。ブラジル経済が崩壊すれば、それはアメリカ経済を直撃し、ロシア経済危機以上の深刻な影響を受けるようになります。19988月のロシア経済危機以降のいきずまるような、日本の大蔵省とアメリカの財務省のやりとりを榊原前財務官が回想記で語っています。(84~6日の読売新聞)

1998914日我々は817日に勃発したロシアの危機を受けて、ロンドンで外相、蔵相代理会議を開いていた。その会議の最中にローレンス サマーズ米国財務副長官(現財務長官)から一枚のメモが回ってきた。

『英資、世界は地獄に落ちつつある。我々は、是非協力する必要がある。』--

817日のモラトリアム宣言と最大35%の実質的なルーブルの切り下げを引き金にしたロシア経済のメルトダウン(溶解)は燎原の火のように世界へ、特にラテンアメリカへ広がっていた。自国通貨建ての国債を外国人投資家が大量に所有していると言う点でロシアと類似していると思われたブラジルからは、大量の資金流出が始まっていた。- - - - 強烈な信用収縮が新興市場国の市場に起こり、それは、また、急速にウォールストリート(米国の金融街)にも波及し始めた。米国では、リスクの大きいジャンク・ボンドや、商業用不動産証券の市場などは事実上崩壊し、資金はリスクの少ない財務省証券市場に集中してしまった。危機はついに、グローバル資本主義の中心部、アメリカを直撃するに至ったのである。- - - - - - -国際投資家ジョージ・ソロス氏のファンドが20億ドルの損失をこうむるなど、特に米国の金融機関の被害は膨大なものだったが、危機がロシアでとどまるならば、ウォールストリートの崩壊を防ぐことは可能であった。- - - - 1998925日、ニューヨーク連邦銀行に、米国の14の主要銀行の代表が集まった。米国有数のヘッジファンド、LTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の決定的崩壊と、そのドミノ現象を避ける為の協議だった。14行は36億ドルにのぼる救済策に合意し、LTCMは間一髪のところで破綻を免れた。

米国は必死だった。国際通貨基金(IMF)・世界銀行の年次総会の直前の930日には、連邦準備制度理事会(FRB)が、金融機関の資金繰りを支援するためにフェデラル・ファンド金利(銀行間で適用される金利)の0.25%引き下げに踏み切った。- - - - - ロシア経済のメルトダウン(溶解)、ラテンアメリカの経済危機を受けて、米国内でもリスクの高い資産の価格が急落し、強烈な信用収縮が起こりつつあったのだ。- - - - - -

こうした中で、米金融街ウォールストリートの最大の懸念材料は、ブラジル経済が債務不履行の状態に陥り、それが他のラテンアメリカ諸国に波及することだった。アメリカの銀行のブラジルへの貸し出しは、約160億ドルにのぼる。これが不良債権化し、さらにアルゼンチンやメキシコにも影響が及べば、既に深く傷ついていたウォールストリートがとどめを刺されることになるからだ。

当時ブラジルの株価指数は、717日の11,057から910日には4,790と半値以下に急落していた。700億ドルあった外貨準備高も、通貨レアル防衛のための市場介入で、400億ドルまで減少していた。

米財務省は、直ちにブラジル救済のためのIMF(国際通貨基金)プログラムを作成した。財務省のプランは、IMF(国際通貨基金)に新たに融資枠を設け、ブラジルに400億ドル以上の資金をつぎ込むことだった。しかし、アメリカの金融機関救済の意図があまりにも見え見えのプランに欧州の各中央銀行は強く反対した。そして、対立は、104日の22カ国蔵相・蔵相代理会議でピークに達した。- - - -

ヨーロッパの主張は、20%~30%過大評価されているブラジルの通貨の切り下げと、金融機関による救済コストの負担であった。論理的には切り下げは必要だった。だが、直ちに切り下げると、米国の金融機関はロシアの時のように膨大な為替の損失をこうむり、ウォールストリートは致命的な打撃を受ける可能性が高かった。- - - - -

1015日米議会がIMFに対する180億ドルの拠出を認めたことなどを機に、10月後半からG7(先進7カ国) の間の精力的な協議が進みだした。1113日IMF(国際通貨基金)は総額415億ドルのブラジル救済プランを発表した。1117日FRB(連邦準備制度理事会)は公定歩合とフェデラル・ファンド金利をさらに0.25% 引き下げる決定をし、これによって、ニューヨーク・ダウ 株式市場は9,000ドルを突破した。ニューヨーク市場はよみがえったのだ。」

1998128日ブラジル政府は、通貨レアルの切り下げ目標として、1999年中に7.5% 切り下げを行うことを発表した。これは、IMFから415億ドルの融資を受ける条件の中の一つであった。1999113日ブラジル政府は、通貨レアルの切り下げを発表。113日の国外資本流出額は、11億ドル、114日には、18億ドルが国外に流出した。118日通貨レアルの自由変動相場制への移行を発表。129日ブラジル中央銀行は、資本の国外流出と通貨レアルの暴落を食い止める為、金利を35.5%に引き上げた。しかしそれでも資本の国外流出は止まらず、226日外貨準備高は、264億ドルとなった。19988月の700億ドルに比較すると、約3分の1となった。34日金利は45%まで引き上げられた。通貨レアルは1ドル=2.1レアルとなり、昨年末の1ドル=1.2レアルからすると、50%以上のレアル安となった。この頃が最悪で、その後政府の財政改革、歳出削減などの努力によって、5月には、経済は回復し、危機は去ったと発表された。8月現在、金利は19%に下がり、為替市場は、1ドル=1.88レアルとなっている。